埼玉クルド人問題、25年5月末の状況－ようやく政府は動いたが…

埼玉クルド人問題は現在（2025年5月末時点）、どうなっているのかをまとめたい。政府・出入国在留管理庁が、「不法滞在者ゼロプラン」を出し、自民党は外国人問題の特命委員会を作った。ようやく行政・与党が動き出した。不法滞在者、不法行為をする外国人を対象にしたものだが、当然、クルド人問題の解決にも役立つ。問題解決を願う埼玉県民の声が、ようやく問題の担当者に届いた。これを具体的な解決に結びつけたい。

外国人をめぐる「国民の不安」「問題の存在」を法務省認める

鈴木馨祐法相は5月23日、難民認定申請の乱用や誤用を防止するため法務省・出入国在留管理庁（入管）が「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を取りまとめたと発表した。

出入国在留管理庁を所管する法務省の上記ホームページを見ると、「ルールを守らない外国人に係る報道がなされるなど国民の間で不安が高まっている状況を受け」との政府の認識が示された。日本の行政は原則として失敗を認めない。しかし政策の失敗そのものではないが、外国人の不法滞在や犯罪増加の存在、そして国民の不安を認めたのは一歩前進だ。

プランのポイントは以下の通りだ。目新しものはなく、これまでの政策を強化するにすぎない。埼玉クルド人問題を見る限り私は「これまで何をしていたのか」という感想を抱いてしまう。プラン（計画）として公表した以上、私たち国民は実行によって、問題が解決されることを求めていきたい。内容は以下の通りだ。

▶︎2024年7月1日時点で約7万7900人日本にいる不法滞在者のゼロを目指す。ただし期日は明確にしなかった。

▶︎入国管理の面では、電子渡航認証制度(JESTA)を2028年度中に導入する。目標を2年繰り上げる。これはネットで事前提出の情報を元に、入国を事前審査するもの。ビザなし渡航を認めている国にも対応する。また偽装難民申請の多い国では、該当国への外交的働きかけを行う。
埼玉のトルコ国籍クルド人の多くは、同国とビザなし渡航が可能であるため、日本を目指し難民申請を行って居着いてきた可能性が高い。その入国は抑制されるだろう。

難民審査の迅速化、強制送還拡大を入管は約束

▶︎在留管理・難民審査では、難民認定審査の迅速化を行う。これまで難民審査では平均で22ヶ月もの時間が経過していたが、6ヶ月程度に短縮することを目指す。またJESTA導入によって、管理と審査を電子化し、迅速に行う。
埼玉のトルコ国籍のクルド人は、この難民審査期間の長さを利用して滞在し、不法就労をしていた。

▶︎出国・送還対策を行う。2024年6月に改正入管法が施行された。難民申請は原則2回まで、そしてこれまで緩く運用されていた仮放免を原則認めないことにした。それを厳格に適用する。自発出国者には上陸期間短縮制度（他は違反者は５年以上のところ原則1年）を使い、帰国を促す。また拒否者には、護送官付きの強制送還の実施を増やす。さらに不法就労の摘発を進めるという。
仮放免とは、送還命令が出た滞在資格のない外国人が帰国までの間に一時的に入管施設の外に居住する制度だ。認められるのは病気などの場合に限られていた例外措置のはずなのに、なぜか数が増え常態化してしまった。埼玉のトルコ国籍のクルド人は、この制度を使って日本で勝手に活動し解体業などで就労していた。

これらの政策を実行すれば、埼玉のクルド人は大幅に数が減る。その数は変化して流動的だが、2月の国会答弁などによると、2024年末時点では約3500人のトルコ国籍のクルド人が、難民申請など正規の滞在資格がない形で日本にいる。また日本人妻は100人ほどいるため、その配偶者、子供なども合法滞在している。他の資格でもいる。私は約4000人のコミュニティと推定される。その数が減れば、問題は抑制されるだろう。

外国人対策、ようやく動いた自民党

自民党は「外国人との秩序ある共生社会実現特命委員会」を設置し、5月15日に初外合を行った。川口市を選挙区とする新藤義孝、片山さつき、河野太郎、小野寺五典（党政調会長）の大物と言われる同等の議員が、中心メンバーとして役職に就いた。

いずれも、これまで外国人労働者の受け入れ制度づくりに関わってきた議員だ。外国人を増やすなら問題対策の準備をしてから行うべきだった。SNS上などでは「遅すぎる」「いまさらですか」「選挙前のパフォーマンスに必死」などの声があふれている。私も同感だ。しかし今からでも遅くないので、国民の不安を前に必ず成果を出してほしい。

匿名委員会の設置を決めた自民党総務会だった。その後の鈴木俊一・同党総務会長の会見では「クルド人、中国人問題など」と個別名を出した。しかし既存メディアは国や特定の集団名を出さなかった。既存メディアは外国人の起こす犯罪などの諸問題について積極的に伝えず、この委員会設置のニュースの扱いも小さかった。視聴者、読者は唐突に思えただろう。

有力議員の河野太郎元外相はこの委員会設置12日、自身のブログとXで「川口市のクルド人」と題する長文を投稿。川口市を視察し「取り締まりをきっちりやることが、まず必要」「トルコからのビザなし渡航の停止」と意見を述べた。その後も「ビザなし渡航の廃止」「外国免許切替（外免切替）」の制度上の不備について言及するなど、外国人問題についての発言を活発化させている。ちなみに彼は2005年から06年に就任した法務副大臣の時に、外国人労働者の受け入れ拡大を積極的に推進した。

自民党の政策は入管以外の取り組みも含む。配布資料を関係筋から入手した。今後の論点では次のような問題が議論される見込みだ。

▶︎外国人の迷惑、犯罪行為の抑制　▶︎外国資本による土地取得の規制強化　▶︎楽すぎる外国免許切り替え　▶︎社会保障制度のただ乗り　▶︎外国人児童の教育と児童手当

早速、外国免許切り替えで試験を厳しくする警察庁の方針が示された。なぜ今まで放置していたのかと感想を抱くが、なんとか形にしてほしい。

埼玉クルド人問題、少しは変化

実際のところ、埼玉クルド人問題は解決に向かっているのだろうか。県民の評価は「まだら模様」だ。「改善した」という人もいれば「変わらない」また埼玉は広いので「問題があるかわからない」という人がいる。川口から、周辺地域に広がっている印象がある。一方で、昨年からクルド人に送還通知、難民の不認定の通知が出ている模様で、数が減っているらしい。正確な統計を国が作成していないので不明だ。前述の自主帰国の再来日を狙って、帰国者も増えているようだ。

「クルド人は名古屋に流れているのか？」という質問も多い。一部メディアが伝えた。在日クルド人のSNSを見て、関係者の証言を聞くと、川口のクルド人が移動していることは確かなようだ。ただし、その数はわからない。名古屋にはトルコ人が、合法移住の結果、解体業をやっている。彼らは能登半島地震の復興で解体作業に関わっている。そこで人手不足になり、クルド人を使っているようだ。これまでトルコ人とクルド人は仲が悪く、そのような例はなかった。

「地元とクルド人の関係はどのようなものか」との質問がある。悪いままだ。「埼玉クルド人問題、住民の不安を聞いてほしい－奥富川口市議に聞く地域の疲弊（上）」で示したように、クルド人側が自発的に改善する気配はない。また記事「「盗撮だ」いらだつクルド人が暴力」で示したように、クルド人がいらだち、地域住民に迷惑をかけている。

政治と自民党がようやく動いた。この新しい動きを本格化するために、私たちは埼玉県民と共に、政治家や行政への機会あるごとの陳情、そしてSNSでの監視、声を上げることを繰り返そう。そして、ヘイトや差別ではなく、事実を訴えていこう。ただし情報を発信する場合には、ヘイトだ、差別だという、批判を社会から受けないように、慎重な配慮が必要だ。情報を発信する埼玉県民を応援し、変に騒ぐ人権屋を孤立させよう。そして行政がこうした取り組みを形にすることを応援、そして監視していこう。

不法滞在・偽装難民、犯罪をする一部の外国人の問題を解決していきたい。埼玉クルド人問題はその先例になる。動かなかった政治が、ようやく動いた。私が報道を孤軍奮闘の中で2023年５月から初めて2年が経過した。少し希望が出てきた。

石井孝明
経済記者 with ENERGY、Journal of Protect Japan 運営
ツイッター：@ishiitakaaki
メール：ishii.takaaki1@gmail.com

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