国際テロ組織の活動が日本で始まった-クルド人の埼玉ネウロズを分析(下)

目次
複雑なトルコ人の民族意識
(上)「クルドの祝祭ではなくテロ組織PKKのイベントか?」から続く。
埼玉県で在日クルド人が行なったネウロズについて、トルコ本国にいる安全保障問題に詳しい2人に状況を伝え意見を聞いた。テロ組織PKK(クルド労働党)は個人テロを行うので匿名にする。
いずれも男性であり、一人は軍の退役士官で現在は安全保障の研究者になった50代の人物(Aとする)、また一人は30代のメディア関係者(Bとする)だ。A氏は母方の祖母がトルコ東部出身のクルド人だ。さらにこの2人の意見のポイントを、Xで紹介して15人ほどのトルコ人から長文の意見をもらった。それらは2人の意見にほぼ賛同したものだった。Zoomとメールを使い翻訳機を使って話したが、私の英語能力は低くトルコ語は分からないので、誤訳があるかもしれない。
2人に取材して私はトルコの人々、また中東の人々の民族や国家に対するアイデンティティ(自己認識)の不思議さ、複雑さを感じた。ほぼ単一民族で国境が大きく変わらずに2000年以上過ごした日本人とはかなり違う。
「トルコ人」とは、トルコ民族、そしてトルコ共和国国民の2つの意味がある。またトルコ民族は、多数の民族が入り混じってできた。さらに「トルコ共和国」も多民族から成り立つ。その帰属意識、自己認識は人それぞれだ。
2人は建国の父ケマル・アタチュルクの思想を受け継ぎ、国粋主義的傾向を持つケマリストの政治的立場だ。イスラム志向を強めるエルドアン大統領とその政権とは考えが違う。今回の取材は政治ではなく、PKKと治安問題についての取材だ。
2人は「1980年代にトルコには民族差別的な政策はあったが現在はない」と強調した。そして「どの民族に属するかは自己認識次第だ。クルド人の大半は、トルコ国民として平和に真面目に暮らしている」(B氏)という。
A氏によると、トルコ軍には現在、人口比からやや少ない1割弱のクルド人士官と、徴兵で集められる兵がいるが、軍内では民族への侮辱は処罰の対象になるという。また現在ではクルド人はPKKと戦いたくないと申告すると配属を配慮される。そして自分は差別された経験はないと述べた。在日クルド人が繰り返す「自分たちはトルコでの迫害を逃れてきた難民だ」という主張は怪しいことが、改めて分かった。
民族対立を煽るために、PKKがネウロズを作り直す
私が「上」で示した、論点1の埼玉のネウロズの姿について感想を聞いた。そこでは「ハライ」というラインダンス、火を礼拝するゾロアスター教的な行為(25年には県が禁止したためか行われなかった)、PKKの旗の乱立と政治演説が行われる。また「鍛冶屋のデハク」の物語が語られた。3000年前に息子を生贄(いけにえ)に差し出すことを求める王に対して、クルド人のデハクがネウロズに蜂起して打倒したという話だ。埼玉のネウロズでも入り口に、その物語が掲げられていた。
2人によると、これはPKKが作ったネウロズで伝統的な祭りの姿ではないという。「1980年代にPKKがネウロズを、クルド民族主義を煽る政治イベントに作り替えた」(B氏)という。
火をあがめることは唯一神への信仰を行うイスラム教徒にとっては背教的行為だ。現代でも、トルコ人もクルド人も敬虔なイスラム教徒はネウロズを無視する。デハクの話はPKK創立者のオジャランが著書で80年代にクルド人の物語として取り上げた。ところが元々はペルシャ(イランの古い名前)の民話で、クルド人の話ではないそうだ。A氏は子供のころ、この話を聞いたことはないという。人民の蜂起を促し、クルド人はイスラムやトルコと別の歴史を持つことを強調したネウロズになっている。
A氏は祖母を通じて、イスタンブールのクルド人社会に属していた。そこでの1970年代のネウロズは、親族が集まり芽生えた植物を送りあって食事をする平和な祭りで、父親のトルコ人も参加していた。火をあがめることは火事を警戒してなく、食卓でろうそくを灯しただけだった。「PKKはネウロズを作り替え、民族対立のための道具にしている」とA氏は不快感を示した。
トルコ民族にも、民族の始祖である狼が火を飛び越えて成長したことを祝い、それがネヴルース(ネウロズのトルコ語表現)の始まりとする伝説があるという。ネウロズはクルド人だけの祭りではなく、中東の各民族が祝っている。また中東に広がって住むクルド人の祝い方も各地で違う。ところがPKK支持のクルド人は、日本のネウロズと同じような祭りをする。
トルコ国営放送にはクルド語放送がある。そこでは今年もネウロズの期間中、クルド人居住地域のイベントを放送していた。そこでは意図的と思われるが、PKK式のネウロズは伝えられず、踊りと植物を送り合う映像が流れていたという。

エルドアン・トルコ大統領は今年、「3月21日を春と兄弟愛の祝日としよう」と国民に提案した。国内でのネウロズの政治利用を止めるためだろう。
在日クルド人の服装、「派手でおかしい」トルコ人に違和感
論点2で、埼玉の在日クルド人の服装の問題を指摘した。男たちの着ているカーキ色の服はPKKの戦闘服と2人とのトルコ人は言った。「民族衣装というのは嘘だ。それを元にPKKが作り替えた。モスグリーンは戦場での迷彩効果のためだ。クルドの民族衣装はカラフルだ」と述べた。確かに、19世紀のクルド人の民族衣装を検索すると色がついていた。西欧の軍服にある肩飾り(エポレットという)は、在日クルド人の服にはあるが、クルドの古い民族衣装にはない。

また女性の服装が派手で、体の線をくっきりだし、貴金属のアクセサリーがきらめいていた。それを見て日本人の中には「かっこいい」と評する人がいた。ところが「トルコではどの民族でも、女性が体の線を服で出すことは、はしたない行為だ。そしてクルド人の服装には見えない」(A氏)とされる。
また「トルコ、イスラムでは、男性は金(きん)を身につけない。女性はつけることもあるが、あまり家族外の男には見せびらかさない。これは異様だ」と、B氏は不思議がっていた。日本にも、派手な服装を「みっともない」という感性を持つ人がいる。トルコでも同じ考えがあるようで興味深かった。クルド人の服は地域によって違うが、それでもクルド人らしくない服だという。
在日の大半を占める南東部クルド人は、オスマン帝国時代に東部のアルメニアから流れてきた人という説がある。また彼らは、トルコやクルドの居住地区からすると辺境に住んでいる。「アラブやアルメニアの影響か、彼らが田舎者で教育がないためか、この服装の理由は分からない」と、2人のトルコ人は述べていた。
在日クルド人が貴金属を買う理由を私は説明した。在日クルド人は偽装難民で法的地位が曖昧なために、日本で銀行口座が持てない。そのために不法滞在で稼いだ現金を貴金属に換金する。それによる脱税も狙っている。そして彼らは、滞在理由がなくなると頻繁に帰国する。その際にトルコに貴金属の形で資産を持ち込もうとしている。また日本で働けない在日クルド人の女性たちは、暇な時間をまぎらわすために、家にこもってこの祭りの準備をし、貴金属や服の自慢合戦をネウロズでするようだと指摘した。
2人はトルコの状況を話した。「現在、トルコではインフレが激しく、違法なのだが金(きん)が決済に使われ流通している。トルコの入国管理については詳しくないが、女性の服を脱がせる身体検査は宗教的なタブーでなかなか行われないと思う。貴金属は隠して入国しやすいのではないか」という。
日本人のクルド人への支援は「自殺行為」
論点4、論点5では、日本の政治活動家や人権活動家、そしてメディアが、このネウロズを守る異様な行動をしていることを指摘した。それに意見を聞いた。「滑稽で恐ろしい自殺行為だ。日本人がテロ組織を支援し、自ら危険を招いている」(A氏)。「PKKは麻薬売買や、犯罪にも関係している。そしてPKKはトルコでの武装闘争の資金を日本で得ようとするかもしれない。クルド人が多く移住した西欧ではネウロズで資金や戦闘員を集めている。PKKの支援を今すぐ、日本とトルコのためにやめるべきだ。これはテロ支援で、トルコの安全に害になる」(B氏)。2人とも、日本人による行為を批判した。
PKKの政治戦術は、関連組織が「PKKと関係ない」と言いながら、その存在感を高める行為を繰り返す。「トルコの国会、地方政治でそうした政治戦術による行動が行われている。クルド人が移民、または難民として入った西欧諸国でも同じ行動をしている。日本でも始まったようだ」(B氏)という。
A氏は「トルコでも、クルド人が移民した欧米でも、人権派や活動家がクルド人を守る。善意でする人、クルド人からで利益を得ようとする人など、目的はさまざまだ。しかし、こうした行為によって、クルド人がその場所に居着いてPKKの勢力を拡大させてしまう」と述べた。
PKKはクルド人の国外への移民・偽装難民集団を支持基盤にしている。PKKは外国で孤立しがちなクルド人に、通訳、資金、生活案内などさまざまな便宜を与えて支持者にする。日本でも同じことが行われている可能性があると私は述べた。B氏は「あなたの伝えた在日クルド人の姿を聞くと、あまり教育を受けていないようだ。PKKは工作しやすいだろう」と述べた。
そしてPKKの狙いは、欧州諸国と同じように移民した場所を資金源とする、そしてうまくいけば移民した地域での支配力の確保だ。「日本でも数が増えれば、クルド人は必ずそうする」と2人は予想した。
在日クルド人、「トルコの極右の嘘」と主張
在日クルド人への批判を並べたので、彼らのネウロズへの考えも紹介しないと公平を欠くであろう。在日クルド人からコメントを取れた。このトルコ人の意見について、「トルコの極右、またはケマリストがいつもいうことだ。ネウロズは3000年続くクルド人の祭りだ。トルコ人は1000年前に、アジアからクルド人の住む中東を侵略しにやってきた」という。
日本でのPKKの活動について「PKKメンバーは日本にいない。かつて旗を立てたのは、クルド民族の独立を願った心の支援にすぎない。在日クルド人にテロリストなどいない。私たちはトルコで差別されている。クルド人の権利を主張しているのに迫害されているから逃げてきた。今もトルコ政府はクルド人を弾圧し、混乱している」と述べた。
そして「トルコの極右があなたに情報を提供している。あなたをトルコのスパイというクルド人もいる」と話した。
ちなみに私はトルコなどの外国勢力に関係はなく活動しているジャーナリストだ。埼玉クルド人問題を、日本人のために解決したいという思いから報道している。上記の2人のインタビューも、情報交換の中で出会い、実現した。確かに彼らはトルコの保守派であるが、その内容には妥当性があり、その考えを日本の安全を守るために意味あるものと考えて紹介した。
本国とずれていく移民集団―テロ組織が工作しやすい
取材をした2人のトルコ人、また15人ほどの後から意見を述べたトルコ人は全員が「在日クルド人の政治活動を中止させるべきだ。居着かせるための組織を作ってはいけない。それは必ずPKKとつながる」と懸念していた。私も同じ警戒感を持っている。
私はかつて韓国人の大学教授に、その人の調査した在日韓国人・朝鮮人の社会集団への感想を聞いたことがある。「全員ではないがバランスを欠いた見方をする人が多い。そして遠隔地ナショナリズムが発生している」と、その人は述べた。彼らは日本人と韓国の本国人を共に警戒し、日本と韓国、北朝鮮に、「自分たちはしいたげられている」と被害者意識を持ち、他人を信じなくなっていた。また日韓関係、朝鮮史を歪んだ形で理解していた。そして異様に愛国心が強かった。「少し感覚が本国とずれている」という。遠隔地ナショナリズムとは、外国に移住したある集団が、逆に本国への強い愛国心を持つことだ。
私には在日朝鮮・韓国人を批判する意図はない。しかし移民の一部が本国と違う雰囲気や情報の中で、変わったものの見方や被害者意識を持つようになるのは、あり得ることだと思う。北朝鮮の対日テロ活動で、在日韓国人・朝鮮人の協力者がいたことは、そうした工作を仕掛けられたのだろう。在日クルド人にも同じことが起きているようだ。
移民を使いテロ組織が工作活動
しかし、そうした感覚のずれや被害者意識を利用して、テロ組織は、移民への工作をかけやすくなる。そしてこれまで報道してきたように、在日クルド人は異常な行為が多すぎ、日本人と考えと行動が全く違う。教育程度も高くない人が多い。在日クルド人全てがテロリストだと言うレッテル貼りをしてはいけない。しかしPKKの工作に引っかかりやすそうだ。
日本人は埼玉クルド人問題において、テロ組織PKKの活動を警戒するべきだ。PKKが埼玉で活動している状況証拠はあり、日本人、そして埼玉県民の間に不安が広がっている。私も身の安全が怖いのだが、誰も指摘しないのでここで報道した。かつて2007年に鳩山邦夫元法務大臣が、「友人の友人がアルカイダ」と外国人記者クラブで述べ、大騒ぎになった。彼はネット炎上して左右双方から批判され、メディアは批判を続けた。それなのに、2025年に埼玉県では「隣人がPKK」の疑いがあるのに、行政も、警察も、メディアも動かず、県民と日本人の不安だけが拡大している。なぜなのか不思議だ。
テロ組織を取り締まるのは国しかできない。日本政府は何をしているのか。PKKの捜査、関係者の強制送還、不法滞在者の強制送還をしてほしい。滞在資格のあるクルド人に対しても、テロ対策の観点から、その資格の再審査を進めてほしい。
在日クルド人への対応に、日本人の側から差別があってはいけない。しかし私たちは危険な行動をする外国人集団を警戒することが必要だ。
石井孝明
経済記者 with ENERGY、Journal of Protect Japan 運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com
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1 件のコメント
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「カリホーメン」の和訳記事がURLを微妙に変えて復活した様なので貼っておきます。
https://www.sankei.com/article/20250319-3HHSAIXKTNFYTHDDQQUWMXMC74/
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