クルド人移民・難民によるトラブル、西側諸国で多発
目次
海外への発信、世界から反響
「日本と同じクルド人問題が、ドイツでも起きています。氏族で悪いことをする。女性に対する嫌がらせ。動かない警察とメディア。もっとひどい」
「私はフランス人として尊敬する日本人に忠告します。私はパリのクルド人暴動で車を燃やされたのに、補償さえありません。埼玉で同じことが起きないか心配です」
私は2023年5月からクルド人問題を英語とトルコ語で報道した。海外でクルド人問題はどのようになっているか聞くため、トルコ本国に問題を知らせるためだ。すると世界から大量の反響があった。前の文書はドイツ、後はフランスからきたメールを翻訳したものだ。
トルコからは400通ほど、SNSのXやFacebookのメッセージ、電子メールで連絡があった。またスウェーデン、フランス、ドイツ、イタリア、英国、スペインから数通ずつのメール連絡が来た。
埼玉クルド問題とよく似たトラブルが、クルド人が移民・難民として入国した西欧、北欧、アメリカ、カナダで発生している。クルド人男性による現地女性への性的暴行事件。ゴミを散らかす。騒音を出す。車の暴走。クルド系テロ組織PKKの影などだ。
「悪いことをするのは一部のクルド人」と、日本で人権派の人が言う。しかしクルド人が常に同じ問題をこれまで移住先で起こし続けたならば、それと似たことが起きないように、日本人が警戒することは当然だ。
欧州のクルド人、治安悪化の原因に
現在、欧米では、大量のイスラム系移民、難民による社会の混乱、治安の悪化が広がっている。その中で問題を起こしている民族集団の一つがクルド人だ。
クルド人はディアスポラ(離散)が民族の特徴となり、1960年代から西欧に流入した。その数は凄まじい。推定でクルド人はドイツで130万人、仏で25~35万人、オランダ、スウェーデン、オーストリア、英国で各10万人ほどいる。(注1)
在日クルド人問題と違う点もある。まだ数千人しかいない日本と違って、欧州のクルド人は数が多すぎる。また教育を受けられず、定職に就けない。食べるために犯罪組織を氏族ごとに作っている。そして貧しいクルド人のため、クルド系国際テロ組織PKKが互助組織として活動している。
またクルド人とPKKのネットワークは、バルカン半島を通じた欧州への麻薬搬入ルートになっている。(注2)在日クルド人の中には、まだ常習的な犯罪組織はなく、PKKも少数の協力者はいるようだが活発に活動してはいない。
海外のニュースを検索してみると、日本と同じように、移民の犯罪を積極的に、欧米のメディアは伝えていない。その国の移民に懐疑的な少数のメディア、個人のブログでようやく知ることができる。
仏、スウェーデン、アメリカの混乱
フランスは、1970年代のイラクのサダム・フセイン政権に迫害されたイラク在留のクルド人を受け入れた。また1980年代から労働力としてトルコのクルド人を受け入れた。さらに2011年から続くシリア内戦での難民を一部受け入れ、その中にシリアのクルド人がいた。そういう人々が、フランスに馴染まずに問題行為をしている。
2023年3月にトルコ系の過激派による放火によって、いくつかの都市のクルド文化センターが燃えて、クルド人3人が死亡した。するとクルド人がパリで暴動を起こし、車数十台を破壊、放火した。そこでPKKの旗がはためいていた。
あるフランス人とは簡単なやりとりをした。パリ市内で、特に治安が悪くない、クルド人の集住地区でもない場所を、たまたま仕事で通りかかり、車を一時停止していた。そしたら暴動が始まったので逃げ出したという。翌日、暴動が収まり、車を取りに戻ったら黒焦げになっていた。「私はクルドとトルコの争いなんて関係ない。なんで巻き込まれるのか。保険は一部しか出ず、政府は補償してくれない」と怒っていた。
スウェーデン人からのメールでは、「国内最大の犯罪組織がクルド系になっている。難民として助けた政府は狂っている」と書かれていた。スウェーデンには2016年時点で、8万5000人のクルド人がいる。この国では「クルドのキツネ」という犯罪組織が活動している。麻薬の密売、歓楽街の利権を牛耳っている。その首領のラワ・マジドは、1986年イラン生まれ。父母が難民として1歳の時にスウェーデンに来た。捕縛されそうになると、国外に逃亡したが、ようやく23年にトルコ政府によって麻薬密売などの容疑で逮捕され、スウェーデンでも殺人の疑いで訴追されている。(注3)
スウェーデンは、ウクライナ戦争の後で2023年NATOへの加盟を申請した。ところがトルコ政府は、クルド人移民の中にPKKがいるとそれに難色を示した。スウェーデンは、PKKの取り締まりを約束し、24年に同国の加盟が実現した。
米国、カナダでもクルド人による犯罪が起きている。米ニューヨーク市でクルド人のギャング団が2024年6月に一斉検挙をされた。彼らは難民申請をし、車に乗って女性を連れ去り、暴行をしたという。被害者は15歳の少女だった。アメリカで報道されたのでトルコで話題となり、このグループはクルド人と、トルコのメディアで報道されていた。2024年3月に埼玉で20歳のクルド人の解体工が女子中学生を性的暴行して逮捕された。それもナンパした後に犯罪は車で行われた。この事件を連想させるものだ。(注4)
「大家族犯罪」が深刻になるドイツ
クルド人集団の犯罪が深刻なのはドイツだ。ドイツには推定85万人のクルド人がいる。トルコからの出稼ぎ者、シリアからの難民の中にクルド人がいるという。そしてクルド人の家族を単位にした犯罪組織が近年活発に動く。(注5)
特に、マラミエ=クルドと呼ばれる集団が問題になっている。もともとはトルコ南東部のマラミエ地方に住み、レバノンに移住した後にドイツに難民として1970年~80年代に流れ込んだ人たちだ。
その際には、東ドイツが手引きし、東西の窓口だったベルリンから、この難民を西ドイツに送り込んだという。移民・難民を他国攻撃の道具にするという異様な発想を、争いの歴史の長い欧州諸国は持っている。
この人たちは約20万人いる。ドイツ生まれの2世、3世が誕生しているがドイツに同化しない。その人々が氏族というゆるい血縁関係でまとまり、犯罪に走っている。麻薬密売、歓楽街での商売、強盗や窃盗などをする。ドイツでは職業別の組合、組織が強く、外国人労働者は人気のない仕事にしか今でもなかなか就けない。
警察の報告書には、ある氏族グループについて、「全員暴力を行使することに意欲的。警察官に対して暴力をふるうことをためらわず、国の法律を認めず、家族の掟やルールのみを大事にしている」と書かれている。一部の在日クルド人に似ている。
ドイツはナチス時代の反省から、外国人の人権を過剰に保護する動きがある。各州の警察は、クルド人、外国移民の犯罪者の報道を積極的に広報せず、メディアも報道しない。最近の治安悪化を受けて、ようやく最近、報道するようになった。
しかし「クルド人」ではなく、警察の広報文も、メディアも「中東系」「大家族犯罪」という言葉を使うことが多いという。問題が社会で隠蔽され続けている。日本より深刻なのは、このマラミエ=クルドの人々は、ドイツ国籍取得者、もしくは大半が無国籍の人々で、ドイツが追い返す先がないということという。
この話を紹介してくれたドイツ人ジャーナリストは次のように話した。「私はリベラルな考えを持ち、外国人の尊重を考えてきた。しかし、このマラミエ=クルド人の問題についての報告を読んで考えが変わった。秩序を破壊する自由、その破壊者の人権の尊重は許されない。第二次世界大戦後の日本とドイツは、国家権力の抑制、人権の尊重、外国人と仲良くという社会規範の強化など、似たところがある。日本は、ドイツの失敗を参考に移民政策やクルド人対策を考えるべきだ。同じ過ちをしてはいけない」。
欧州からクルド人が日本に
そして不気味な動きがある。クルド人のSNSを見ると、英国のロンドンから日本に移り、川口のレストランで働くようになったという男がいた。スウェーデンから日本に移ったという少女が、東京の街中で買い物をしていた。取り締まり、批判が厳しくなる西欧から、その緩い日本に逃げているのかもしれない。欧州でのクルド人の犯罪組織、またPKKの活動が日本に入ってこないだろうか。
(注)
(1)「離散の民、クルド人の実像-アイデンティティの衝突と被害者意識のすれ違い」(今井康平、中央公論2024年8月号)
(2)「東西を結ぶ麻薬の道「バルカンルート」 トルコが本格的な対策に乗り出した」(朝日新聞GLOBE、2020年7月28日)
(3)Wikipedia「Foxtrot (criminal network)」(英語)
(4)「Illegal accused of raping NY teen after slipping into San Diego from Turkey」(FoxNews、2024年6月27日)
(5)「ドイツを悩ます「大家族犯罪」 法より「一家のおきて」重視で凶行や迷惑行為に関与」
「「大家族犯罪」解決へ 偏見を助長せず歯止めかけられるか スタート地点に立つドイツ」
(いずれも朝日新聞GLOBE 2024年8月10日記事)
石井孝明
経済記者 with ENERGY、Journal of Protect Japan 運営
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