PKKを日本政府はテロ組織指定済み、取り締まり可能ー広がる誤りを正す

ジャーナリスト

(このたび、外国人問題、経済安全保障問題のサイト「Journal of Protect Japan」を立ち上げた。エネルギー、環境政策の解説を行う「with ENERGY」と共に、利用いただきたい。双方向のやり取りを期待する。意見、感想をぜひ寄せていただきたい。)

(写真)外国である日本で政治活動を行う在日クルド人たち。クルド人のフェイスブックにあったが、2016年ごろと思われる。現在削除済み。上にある黄色い旗はYPG(シリアクルド義勇軍)でPKK系組織。HDPと言うトルコ政党はPKK関係団体として、トルコで解散命令が出て裁判中だ。真ん中の男性はPKK創設者のオジャラン。私が拡散したところ、トルコでこの写真は「HDPとオジャランとPKKの関係を、日本にいるクルド人が証明した」と話題になった。HDPはPKKとの関係を否定しているためだ。

トルコを中心に活動する国際テロ組織PKK(クルド労働党)について、日本政府は「テロ組織」と認定している。ところが一部日本人、在日クルド人が「日本政府はテロ組織として認定していない」「トルコ政府の勝手な指定だ」と奇妙な主張をし、一部のネットメディアまで追随する気配がある。誤りをこの記事で正したい。PKKが日本で活動を始めた兆しがあり、警鐘を鳴らす意味もある。

4万人の死亡をもたらした残虐なテロ組織

PKKとは共産主義を掲げ、トルコからクルド人国家を分離、独立させようと主張する団体だ。昨年10月にトルコの首都アンカラで内務省に自爆テロを行いテロリスト2名が死亡。シリア、イラクの国境付近で、トルコ軍と交戦中だ。西欧では麻薬ビジネスに手を染めている。1970年代からPKKのせいで、約4万人のトルコ人、クルド人が死亡した。残虐なテロ組織だ。

トルコ政府は昨年11月に、在日クルド人6人、日本クルド文化協会など2団体をPKK関係者として、資産凍結措置を行なった。
(「Turkey freezes assets of 82 organisations, people for alleged PKK ties」(訳:トルコ政府、82の組織と人を、PKKとの関係が疑われるとして資産を凍結)ロイター報道)

日本政府はPKKについて次のことを行なっている。

▼「国際テロリスト等財産凍結法」に基づき、PKKは国際連合安全保障理事会決議第1373号によりその財産の凍結等の措置を取るべきこととされている国際テロリストとして2015年10月30日に指定されており、現在に至るまでその指定が延長されている。(警察庁サイト

▼同法に基づき国内取引に対する財産の凍結等の措置が行われる。また送金などが規制される。まだPKKに対する摘発、関係者の検挙などは行われていない。

▼日本政府はこれまでPKKのテロ活動を批判し、「その活動を監視していく」(上川陽子外務大臣、衆議院外務委員会、24年5月8日、松原仁議員(無所属)への答弁)としている。

▼2022年の公安調査庁内外情勢の回顧と展望、またほぼ毎年の警察白書は、PKKをテロ組織として記述している。

▼EU、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダにおいて、テロ組織として認定し、国内の活動を禁止し、スウェーデン、ドイツではテロリストの逮捕例もある。ところが、日本は外国のテロ組織を取り締まる法律がない。

以上の通り、日本ではPKKテロ団体として制裁の対象となる。ただし取り締まる法律の規制は緩い。

誤解が広がった理由−公安調査庁のミス

PKKが日本で違法ではないと誤解が広がった。その理由は、在日クルド人たちが11月のトルコ政府のテロ関係者指定に動揺したのか、取り巻きの日本人や日本メディアに大騒ぎをして弁解をしたためだ。また昨年11月初旬に、トルコ政府の認定前、「国際テロ要覧2023年版」を公開した公安調査庁が、PKKに加え、ガザでテロ活動を行なっている「ハマス」、レバノンで暴れる「ヒズボラ」を削除し、ホームページでもそれらの記述を消したためだ。

私がこの削除をSNSのXで言及したところ、それがきっかけのひとつなのか、在日クルド人問題のために私をフォローしているトルコの人々が騒ぎ出した。そしてトルコのメディアが報道した。トルコからの報道によると、11月の気候変動サミットで岸田文雄首相と会談したトルコのエルドアン大統領が、日本政府に注意を促すまでの騒ぎになった。日本政府はその事実はないとしている。

在トルコ日本大使館は私の前述した法律をホームページに掲載して説明した。公安調査庁を管轄する小泉龍司法務大臣は、記者会見、国会質疑で「明らかにおかしい」と釈明。同庁は12月6日、「政府の立場について誤解を一部招いた」 として、該当ページを作り直している。(同庁のお知らせ

私は翻訳アプリを使ってトルコ語でX上で説明。4社ほどのトルコメディアの問い合わせに、下手な英語で答えた。(日本政府のミスをなんで私が弁解しなければならないのか!)公安調査庁は権限の少ない弱小官庁だが、トルコ人はそれを国内の防諜、対テロ活動を行う米FBIや、英MI5のような諜報機関と勘違いしたようだ。

公安調査庁は、いくつかあるテロ組織の制裁を決めた国連決議の中で、上記のテロ資金規制の決議以外の決議を使って、テロ組織を分類し直して掲載したらしい。このHP上の記述の削除はテロ組織の「指定外し」と言う大げさなものではないが、ハマスやPKKが暴れている現状でその記述を消すのは愚かだ。明らかに同庁のミスで、その国際情報のセンスの無さに心配になる。

以上が、この騒動の経緯だ。

PKKは日本にいる

それではPKKは日本で活動しているのか。

駐日本トルコ大使はいて活動しているとしている。(「PKK支援団体「日本側へ情報伝えていた」トルコ大使」)

日本政府は以下の答弁をしている。

「事柄の性質上、お答えを控えさせていただきます」(警察庁、上記の松原議員への答弁)

「トルコ政府が一般社団法人日本クルド文化協会等をテロ組織支援者に認定したとの報道は承知していますが、調査の具体的な内容については、今後の業務遂行に支障を来すおそれがありますことから、答弁を差し控えさせていただきます。

なお御指摘のPKKについては、クルド人国家の樹立を掲げ、トルコ国内を中心に活動している組織であり、これまで我が国は、PKKが実行したとされるテロ攻撃について断固として非難してきたところでございます」(公安調査庁、参議院総務委員会、24年3月22日、浜田聡参議院議員への答弁)

これらの答弁は、「肯定も否定もしていない」ということだろう。ただし関係筋によれば、日本の警察、公安調査庁は、在日クルド人社会を監視している。

PKKを支援? 狂ったメディア−国民と政府は警戒を

私もPKKは日本にいて活動していると考える。これはいずれ詳細を話そう。現在、クルド人から民事と刑事で嫌がらせの訴訟を受けているため、自粛したい。

ネットを検索すればわかるが在日クルド人は、PKKの旗や印章を日本で積極的に掲載、拡散している。支援者がいることは、それで確認できる。彼らは日本政府と日本人を舐めているのだろう。在日クルド人たちは、日本の社会秩序を尊重せず、他国の紛争を日本に持ち込もうとしていると、批判せざるを得ない集団だ。

そして日本は、公安調査庁の前述の失態で分かる通り、防諜機関が頼りない。そして国民やメディアにテロへの危機意識がない。

朝日新聞、東京新聞、毎日新聞などの多くの日本メディアは、テロ関係者と認定された組織と在日クルド人のところに行き、「クルド人がヘイトされている」とそれらの言い分をそのまま伝え、好意的に報道している。テロ組織と認定されていることの質問さえしない。記者とメディアが狂っているとしか私には思えない。

私がPKKなら、この「お花畑」の日本ではテロなどしない。シンパの間抜けな日本人やメディアを利用し、頼りない警察や公安調査庁を騙して、たっぷり金を稼ごうとするだろう。問題に責任を持つ政府機関とメディアの「間抜けさ」ゆえに、私たち日本人は知らずにテロの片棒を担ぐことになりかねない。

埼玉を中心に、国際テロ組織の関係者が日本の街でウロウロしている。その恐ろしい現実を、一般国民はぜひ知って警戒してほしい。そして政府機関は取り締まりに動いてほしい。

石井孝明
経済記者 with ENERGY、Journal of Protect Japan 運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com

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1 件のコメント

  1. 米島弁 より:

    今春以降、私も公安の動向に関心を持ち始めました。在日クルド問題やそれに絡む政治的党派性、国際情勢等を公安を軸に再構成すると、違った世界観に出会えますね。在日クルドも事あるごとに不穏な集結を繰り返し、ネウロズ等でPKKやテロ行為を賛美していれば、レベルはどうあれ監視されるでしょうね。本来、秘密である方が望ましいそうした思想・信条を公然と主張する不合理な行動には、それ相応の理由がありそうな気もしますが。

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