役立たずの日本学術会議、独立法人として再生を-福島事故では存在が迷惑

目次
日本学術会議、独立法人化の法案が国会で審議中
日本学術会議を国から独立した法人とするための法案が現在、国会で審議されている。政治的に偏向する会員選考が2019年の菅内閣の時に問題になった。その後に独立性を認める代わりに、支援を抑制し、国が関与するという内容だ。
ところが日本共産党、立憲民主党左派が激しく反対をする。1950年代から今に至るまで、日本学術会議は共産党関係の学者が影響力を維持してきた。国の内部で税金を使い、あやふやさを残し、好き勝手をしようということなのかもしれない。その人たちはこの見直しを「国による戦争準備」というトンチンカンな理由を掲げた。左翼の人はいかに時代からずれているかが分かる運動だ。
それよりも「学術会議が国民のために役立つ組織になっているかどうか」という問題を議論してほしい。社会は公的機関に投入された税金の効果を求めている。私はエネルギー問題、東京電力の福島第一原発の事故の問題、安全保障問題に記者として取り組んできた。そこで、日本学術会議は社会に全く役に立たないどころか有害な活動をしていた。
学術会議、異様な行動3例-福島、原発、安全保障
2011年の福島原発事故と、それによって漏洩した放射性物質が住民にどのような影響をもたらすか。これは科学知識が必要とされる大問題になった。私は次のように主張した。
「これまでの放射線医療の研究を調べると、東京電力福島原発の事故で放出された放射性物質、それによる放射線量の程度では、福島県と日本に住んでも健康被害は起こらない」
「福島原発事故による放射線の被害と、原子力をエネルギーシステムの中でどのように扱うかは別の問題である。政治問題にしてはいけない」
「1986年のチョーノビリ事故では、風評被害、デマで社会が混乱した。日本で同じことを繰り返してはならない」
14年経過した今では、私の懸念が現実になった。デマ、風評被害は拡大した。その影響で、福島の復興は遅れ、エネルギー政策は混乱し、賠償費用など社会はさまざまな負担を背負った。ところが原発事故による放射線で死んだ人は一人もいない。コストと結果が釣り合わない。
問題を是正する主張を続けているが、私は「御用記者」とか「原発推進派」と今でも罵られ続けている。この言論活動に社会的に助けが欲しかったが、味方は少なかった。特に学者、学会の動きは鈍かった。
日本学術会議は2011年6月に政府の諮問に応じて、会長談話「放射線防護の対策を正しく理解するために」を公表した。そこで健康被害はないことを断言しなかった。そして2017年ごろ、社会が落ち着いてから、健康被害の可能性は少ないと、いくつかの報告書を出した。同会議は毎年20-30の提言を出すが、福島での提言の数は少なすぎ、積極的ではなかった。2021年ごろ、処理水の排出が問題になった。中国が海洋汚染と批判をした。韓国の原子力学会でさえ安全性のアピールをした。それなのに、日本学術会議は何もしなかった。
私は日本学術会議の事務局や管轄する内閣府に、同会議が「福島原発問題で積極的に科学的知見を示し安全であると社会に訴える活動をするべきだったのに、なぜしなかったのか」と、2012年ごろ取材で聞いた。しかし担当者は「やっている」と言葉を濁すばかりだった。
ある理系学者である元会員によると、福島問題で日本学術会議が、積極的に活動をするべきという声はあったという。しかし2014年ごろまで反原発の動きは感情的で過激だった。学者の多くは、そうした罵倒や攻撃的な批判に慣れておらず、騒動に巻き込まれることを恐れた。そして事務局の役人も面倒を嫌がり、動かなかったという。
反原発活動には積極的な日本学術会議
一方で日本学術会議は、反原発活動には積極的だった。原子力問題では、高レベル核廃棄物の最終処分場問題が、候補地が決まらない状況だ。同会議は自発的に、この問題について、特別委員会を作り報告書を作成した。「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言 – 国民的合意形成に向けた暫定保管」(2015年4月)という報告書だ。これは問題を知る人間にとって、間違いだらけで、あまりにもひどいものだった。
報告書の結論は要約すれば、「最終処分場の問題を解決しなければ、原発を停止せよ」というもの。別に処分の問題を解決しなくても、保管方法はたくさんあり、原発を止める必要はない。同会議は公的機関で露骨に反原発を主張できないので、奇妙な論理を使ったのだろう。内容はおかしいのに、この報告書は反原発を支援するメディアに肯定的に、大きく取り上げられた。メンバーの学者たちも一生懸命広報をした。
この委員会には、原子力推進の立場の学者、実務者の参加はゼロだったという。メンバーは文系の学者で反原発活動をしていた人が多かった。驚いたことがあった。高レベル放射性廃棄物は、地下400mメートルより深い岩盤に埋められ、金属容器、粘土層に囲まれる予定だ。しかし文系の委員長は、新聞のインタビューで次のように語っていた。(記事)
「地下深くの微生物に放射線が作用してその微生物を取り込んだ別の生物が地上に出てくるなど、人間界に及ぶ可能性はいろいろ想定できる」
つまり放射能を浴びた微生物が突然変異をして、400メートルの岩盤をすり抜け、地上に出て、人間に害をなすと、語っているのだ。そんなことはありえない。もしこのような「エイリアン」が生まれるのを、大人が信じているのなら、その人は中学生の理科レベルの科学知識がないということになるだろう。
安倍元首相が生物化学兵器研究施設を作った?
同じような滑稽な話がある。安全保障問題でも日本学術会議は、反政府活動に忙しい。「軍事的安全保障研究に関する声明」(2017年3月)では、日本の大学での軍事研究の禁止を呼びかけている。元学術会議メンバーで声明の中心天文学者は滑稽な妄想を公開していた。(記事)
岡山理科大学獣医学部(愛媛県今治市)は、安倍首相の友人が経営する。一部の人が文句をつけた。そこが生物化学兵器を研究するために作られた可能性があるという。もちろん、それを証明する文章はどこにもなく、この人の妄想だ。学者は、ある分野ではトップクラスの学力があっても、他の部分では子供のような妄想を抱くちぐはぐな思考を持つ人がいるようだ。そういう人が、政策提言を、日本学術会議を使って行っている。その後、軍事研究をする大学が次々出てきて、上記声明の意味がなくなったのが救いだ。
私の詳しい分野で見られた3つの異様な日本学術会議の動きを紹介した。同会議は、社会に必要な活動はせず、滑稽な思考をする老人たち、言葉は悪いが「学者バカ」が、反政府の政治活動をする場に堕落している。私は同会議の他分野を知らないが、そこでも、同じようなことをしているのだろう。安全保障政策などで政府を攻撃し、中国など日本の敵性国家との協力には熱心でもあるとされる。
反政府の科学者機関は日本だけ?
科学者と政府の関係において、おかしな科学者が政策を混乱させるというのは、日本独特の現象のようだ。他国では科学者や学会は政治的に中立的で、社会貢献に配慮し、政府と協力して社会問題の解決に向き合っている。
福島原発事故のとき、各国の科学者と政治の関係を調べたことがある。日本以外の国では、政府科学顧問が問題に、適切な助言をした。科学顧問とは、大統領など行政府の長に科学問題に助言する人で、主要国には置かれている。日本は日本学術会議がその役割を果たすことになっているが全く機能していない。
今回の新型コロナウイルスの感染対策では、日本政府は学術会議を使わず、感染症の専門家を集め、政策の参考にした。同会議が役立たないことを、政府も認識しているのだろう。
どの社会にも専門家は、その知の力と地位を獲得する過程において、その社会からチャンスと支援を受け、その対価として社会的責任を引き受ける。学者もそうであろう。特に税金をもらっている日本学術会議は組織も構成員も「社会に貢献する」という責任を引き受けなければならない。しかし同会議はその責務を果たしていない。
今のように役立たたずの組織なら…
今回の騒動を契機に、日本学術会議を廃止、民営化しろという過激な意見もネットでは散見される。しかし私はそこまでする必要があるとは思わない。福島の原発事故問題のように、また新型コロナウイルス感染症の問題のように、科学の知識を社会が必要とする場面は、日本でまた必ず発生する。その時に、学術会議に科学と社会の橋渡し役として活動してほしい。
しかし今のように役立たない組織であったら…。日本学術会議の予算は年10億円という。その税金を投入する価値を日本学術会議が示せないならば、解体して使われる公金を若手研究者の研究費に回した方が、はるかに日本のためになる。せめて独立法人化して、会計を明朗にし、自己責任で金を集める仕組みを作ってガバナンスを強化して欲しい。
石井孝明
経済記者 with ENERGY、Journal of Protect Japan 運営
ツイッター:@ishiitakaaki
メール:ishii.takaaki1@gmail.com
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1 件のコメント
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日本学術会議の記事を拝見いたしました。学術の自由を阻害する団体に、国は税金10-12億を注ぎ込む前に考えるべきです。私は、マイクロRNAが国防問題になることを提言した設立学会を潰されました。更にハラスメントで大学を追われました。自著The MicroRNA Quantum Code Bookはその査証です。
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