岸信介の孫の安倍さん、それがどうした?

ジャーナリスト
安倍晋三さんを表紙にしたTime Asiaの表紙。その外交での功績は歴史に残ると思う。

敗戦後、朝鮮人からの暴力で重傷を負った鳩山一郎

元内閣総理大臣の鳩山由紀夫さんは、奇妙な行動で今も他人に笑われ続けている。またおかしな発言をしたので私が皮肉を込めてからかったら、SNSで小さな騒ぎになってしまった。

Twitter画像

安倍晋三元首相を批判する「妖怪の孫」という映画があったようだ。鳩山さんはそれを見て安倍政権を批判していた。それに対して、私は、鳩山由紀夫さんの祖父の元首相鳩山一郎(1883〜1959)は、戦争協力者として公職追放をされていたことを指摘した。

また敗戦直後に治安が崩壊し、人心の荒廃した日本で、当時一部の朝鮮人が、戦勝国民と自称し暴れた。朝鮮人が列車の客室を切符も買わずに占拠したのを軽井沢の別邸から帰る鳩山一郎が注意をしたら、鉄パイプなどで袋叩きに合い、大怪我をした。鳩山は政敵の吉田茂よりも、改憲と再軍備に積極的だったが、それは「非武装」で暴行を受けたこの経験が影響しているようだ。(以上、「鳩山一郎回顧録」を紹介したWill2020年12月号、但馬オサム氏寄稿「不逞朝鮮人にリンチにあった鳩山一郎」を参考にした。)

鳩山一郎(Wikipediaより)

鳩山一郎も血の気の多い人物だった。1915年に衆議院議員に立憲政友会から当選した。当時の議会は乱闘騒ぎが頻発し、彼はよく参加した。大正期の大政治家で政友会総裁の原敬は鳩山をはじめ暴れた人間に日記で不快感を示し、信用しなかった。(「近代日本と軍部」小林清彦、講談社新書)そのためか鳩山は政友会で当初は冷遇される。今、立憲民主党の小西洋之氏を含めた変な政治家が国会の中と外で、総務省文書問題で暴れている。同党の首脳部は、原を見習ってほしい。

ところが1921年に原は暗殺されてしまう。その後、鳩山一郎は、1930年の統帥権干犯事件でロンドン海軍軍縮条約を結んだ対立する民政党内閣を攻撃。その後、これはその後に軍部の統帥権の濫用を生む。1933年の滝川事件でも、文部大臣として京大などの自由主義的な学者を追放する。個人としては運が良いが、日本のためには色々問題を起こした人物だった。

終戦直後には朝鮮人による騒乱が、社会問題になっていたのに、なぜか日本の歴史から消されている。鳩山一郎の話を紹介して、私は日本人と朝鮮人の対立や憎しみを煽りたいわけではない。ただ孫の鳩山由紀夫さんは、友愛と東アジアの融和、そして韓国と日本の極左勢力が主張し続ける「日本による韓国侵略、植民地化の永久謝罪」と同じことを言う。由紀夫さんは、2019年に韓国の刑務所で土下座して、「国辱行為」と日本中の批判を受けた。そうした彼と祖父の行動の矛盾が滑稽で、からかってしまった。

土下座する鳩山由紀夫さん(ニコ生より)

昭和の妖怪、岸信介の不気味さ

安倍晋三元首相に対する一部少数者の敵意は気味が悪い。この変な名前の映画(名前を言うのも嫌だ)は、「妖怪」と言われた岸信介の孫であることを安倍さんの攻撃材料にしているようだ。鳩山由紀夫さんのような変な人が騒ぐ以外は話題になっていないし、「普通の日本人」の多くは気味悪がっている。こうして興行的に成功しそうにない映画がなぜか作られ続けるのは不思議だ。

岸信介(Wikipediaより)

ちなみに左派の方には、右派よりも不思議なお金が流れる。東京電力の福島原発事故以来、劇場公開をされた反原発映画は輸入物も含めて数えた人がいた。18本あるそうだ。ちなみに原子力の容認はドキュメンタリーで輸入が1本、国内で1本という。映画界、そしてメディア全体では、なぜか左のずれた人たちの影響が大きい。この誰も見そうにない、くだらん映画の出資者は誰だろうか。

安倍さんの母方の祖父である岸信介(1896〜1987)は、確かに問題の多い政治家だった。傀儡国家の満州国の運営の中心の一人になり中国人を搾取したこと、日米開戦をした東条内閣の一員であったこと、戦後に数々の汚職事件に名前が上がったこと、政治家の大野伴睦を首相指名すると約束したのにそれを破る嘘をついたこと、政官界に隠然たる影響を残し続けたことなど、問題のある行為を繰り返した。

岸信介証言録(中央公論)を読んだことがある。岸はこうした一連の自分の悪事に全く反省がなかった。人間社会の中には、こうした倫理の壊れたエリートがいると、実感できるような人物だ。

また歴史の不思議さを感じる。岸信介は昭和19年、満洲時代から親しく、恩人だった東條英機の内閣打倒に動いた。大蔵官僚、満州国、東条腹心と、岸と似た経歴を歩いた東条内閣の内閣書記官長(今の官房長官)星野直樹(1892〜1978)は最後まで東条を支えた。星野はA級戦犯、東京裁判の被告になり、岸はA級戦犯容疑者で釈放された。もし岸が東条を裏切る決断をしなければ、彼は東京裁判の被告になっただろうし、その結果、星野が政治から離れたように当然首相にもならず、安倍さんも首相になることはなかっただろう。鳩山家と同じように、偶然の不思議さを感じる。

ただ、そういう岸の罪に、安倍さんは関係ない。それを安倍さんの罪のように騒ぐ人はおかしい。一部の人は、岸信介が統一教会と関係を深め、安倍さんもそれに関係したと喚く。しかし実際には、安倍さんと統一教会の関係はほとんどない。統一教会系のNPOのシンポジウムで外交政策について語った映像があるだけだ。安倍さんの暗殺犯人は、これを見て統一教会との関係があると思い、襲撃を決めたという。ただの狂人の、たわごと、逆恨みにすぎず、殺された安倍さんが気の毒すぎる。そして安倍さんへの内外の人々の高い評価、長期政権は岸の孫という立場ではなく、自分の行動で勝ち取ったものだ。

確かに日本の自民党には世襲政治家が多く、それは問題が多い。安倍さんは、岸の孫であることで盤石な選挙基盤の上で選出され続けた。けれども、その血筋を罪のように扱うのはおかしいし、不気味だ。私は、その外政は評価するが、内政の無策から安倍さんを支持しなかったし、思い入れも少ない。しかし、こうした攻撃は不当だ。

血筋で人を断罪するのは、ナチスと同じ

寄り道が長い文章になってしまった。

他人の過去の血筋で、現在の人間を批判し差別する。これはおぞましい行為だ。過去を振り返ってもおぞましい話ばかりだ。ヒトラー率いるナチスは、ユダヤ人の血が祖先に確認されるだけでユダヤ人と認定し、それを理由に人を殺害した。日本では、徳川幕府が勝手に作った被差別階級の人たちを世襲にした。今に至るまで、そうした人は差別に苦しんでいる。鳩山一郎が巻き込まれた朝鮮人と日本人の民族対立も、そうした血筋という馬鹿馬鹿しいものによって人が憎しみ合う例だろう。こうした「おぞましい行為」を克服してきたのが、今の日本社会ではないのか。

1944年、ワルシャワからのユダヤ人の移送(Wikipediaより)

「安倍は岸の孫」と喚き、安倍さんを批判する人は、こうした連鎖を繰り返したいのか。しかも、このような形で安倍さんに憎しみを向ける人たちは、「人権」を強く唱える人たちが多い。その言行の矛盾もおかしい。あなたたちは、ナチスやヒトラーと同類だ。恥を知れと言いたい。

こうした人たちは、安倍さんへの呪いの言葉をうれしがりながら吐き出す自分の顔を、鏡に映してみればいい。恐ろしい差別主義者の顔が、そこに映っているだろう。気味悪い顔をしていないだろうか。ただしノーテンキな鳩山由紀夫さんの顔と頭を見ると、そうした人たちは自分の醜さ、滑稽さが永遠に認識できないのかもしれない。

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2 件のコメント

  1. koutarou-m より:

    是々非々の評価とその評価は一個人限定のものであると言う当たり前の事を理解できない矛盾した者の多さに暗然となると共にこのようなしっかりとした理を説明していただける事に感謝いたします

  2. 戸田覚 より:

    理路整然とした素晴らしい文章です

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