なぜメディアはColabo問題に沈黙するのか
目次
Colabo問題とは何か
一般社団法人「Colabo」(仁藤夢乃代表理事)の会計処理問題を巡り、東京都監査委員が、この問題を追及している男性からの住民監査請求を認め「不当が認められる」と通知した。この問題で、既存オールドメディアがなぜ沈黙しているのか、誰もが不思議に思うだろう。この疑問を考えたい。
男性は12月29日、「暇空茜」の名称で発信中のツイッター、ウェブで請求結果の通知文をアップした。「Colabo住民監査請求結果全文とその解説」
文章によると、監査委員は、男性の指摘を認め、公金について過重な請求が行われていた可能性を指摘。東京都に対し、必要な経費の再調査や、不適切な支払いが判明した場合には返還請求するように勧告した。
住民監査請求で、一方的に税金の使い道が疑問があるとされる例は珍しい。ちなみにこの団体には国、都など4600万円の支出を21年度に行ったという。
Colaboは男性を訴える、代表が各所で人を批判している、左派の政治勢力が支援しているなどの行為で、多くの人の反感を集めていた。男性は、5500万円ほどの訴訟支援カンパを集めており、攻撃してきた弁護士、メディア、政治勢力を訴える意向だ。
オールドメディアのネット言論への恐怖
前置きが長くなってしまった。詳細はこの男性の文章や、多くの識者の解説に委ねたい。私は自分の知識のあるメディアのことを書いてみよう。
なんで、オールドメディアが黙っているのだろうか。「Googleニュース」を私は使っているが、このColaboが男性を訴えたという記事を、1カ月前に、左派系の論調が多い、朝日、毎日、東京が記事にした以外は、ネット上では報道が皆無だ。
私は既存メディアの記者出身だ。そのいいところも悪いところも見てきたが、沈黙する理由を推測してみたい。
第1の理由の推測は「オールドメディアのネット言論への恐怖」かもしれない。これまでオールドメディアの人たちは、匿名で記事にして他人を批判できた。無責任で会社に守られていた。しかし、最近は、記者会見などでおかしな質問をしたり、変な報道をすると、「属人的に」批判される。私は、外に出て、個人の名前で記事を書いたために、仕方がないことと諦めている。しかし、中の人に聞くと、個人で攻撃されることは「怖い」という感想を頻繁に聞く。
Colabo問題も、手をつけると、どの立場で報道しても、凄まじい批判を、さまざまな方向から受けかねない。Colaboを批判すると、今度は「左」に吊し上げられる。「触らぬ神に祟りなし」の問題になっているのだろう。記者もサラリーマンだ。カッコをつけても保身に動く。しかも日本のメディアは、人の流動性が少なく、給料が他業種より今でも高く、後述のメディア不況で新しい採用枠がなく、逃げ出せない。仕事で記者が守りに入っているのだろう。
第2の理由の推測は「メディアの衰退」と「ニュース価値判断の問題」かもしれない。既存メディアは、日々のニュースを送る記者と、長い記事や解説記事を書くシニアの編集委員、解説委員という肩書きの記者がニュースを作る。ところが新聞、テレビともメディア不況の中で人が削減されている。ニュースに手が回らない。私はColabo問題は、「税金を食べる左派」の根深い問題と思う。しかし、見方によっては国の借金が1200兆円もある日本の現状を考えると、「年4600万円の税金の使い方問題」と小さく見えてしまう。だから触らないのかもしれない。
第3の理由の推測は「都庁のニュースバリュー」という問題だ。各道府県では、役所はメディアに重要な場所だ。大阪などは、維新の政治家がずっとメディアに出ている。ところが東京には、政府、国会、中央官庁、企業本社、警視庁、検察庁などが集中する。都庁は年8兆円の予算を持つ、ニュースの宝庫。しかし、そうした中で、ニュースの序列の中ではあまり大きな地位を占めない。都庁は社会部と政治部の駆け出し記者の修行の場になっている。だから報道では切り捨てられてしまうのかもしれない。
おかしな記者が左派の政治勢力とつるむ
第4の理由の推測は「オールドメディアの情報収集の形のおかしさ」だろう。前述の理由と重なるが、メディアは人手不足で、官庁が情報を大量に持っているために、自然と官庁発の情報にべったりになってしまう。「記者は足でネタを集めろ」と言われるが、なかなかしんどい。これはどの国でもそうだ。数年前、米国の代表的メディアのニューヨーク・タイムスの以下の内容の記事を読んだ。同社の編集室が同社の記事を調べたら、6割が役所、軍の情報に根拠しているので、ネットや市民の声をもっと集めるとしていた。こうした問題意識を日本のオールドメディアの人は持っているのか。こうした状況のために社会団体、NPOなどの問題に、行政が動かないと触れられないのだ。
第5の理由の推測は「おかしな記者」の存在だ。オールドメディアの一部には、反権力とか左派勢力と密接に関係する人たちがいる。左派勢力もそういう記者を仲間にする。前述の編集委員、解説委員という人は、部長とか管理職になれなかった人がもらえるポジションだ。記者として大変優れた人がいて、これがかつては新聞やテレビの報道を面白くしていた。
ところが昔から、編集委員には出世ラインから外れた記者の「島流し」の意味もある。変な記者が、この肩書きをもらい、好き勝手をしていることがある。こういう人たちが、Colaboを擁護しているのかもしれない。男性を訴えたColaboの記者会見では、ネットで嫌われている編集委員の肩書を持った偏向記者たちを、会見に出た左派弁護士たちが指名して質問を受けていた。ネットで「つるんでいる」と批判されていた。
「お客様」を向かないからメディアは滅ぶ
以上の理由は、私の推測に過ぎないが、当らずといえども、遠からずだろう。誰かがメディアをコントロールしているというのは「陰謀論」になってしまうし、違うだろう。会社ごとに事情は異なるだろうが、上記の理由が複合したものではないか。しかし、そんなものはオールドメディア内部の、内輪の勝手な理由だ。
私たち普通の人間は、そんな理由は関係ない。一般人は、ニュースを短く編集し、自分の知らないことをわかりやすく解説し、自分の生活に役立つように提供してくれることをメディアに求めている。オールドメディアや、尊敬できない記者の偉そうな発言をありがたく聞くつもりは、一般人の誰一人としてないだろう。
東京都監査委員は1月4日に、正式の広報をするようだ。おそらくオールドメディアは、さらりと「アリバイ」の意味の数行の記事を出す、もしくは黙殺するだろう。これだけ関心が盛り上がっているのに、「お客様」であるニュースの受け手を無視するものだ。メディアが衰退し、業界大不況に直面していることには、理由がある。
こんな考えをTwitterでつぶやいていると、ネットで私に話しかけてくれた人がいた。「悪い奴とまずい飯屋が栄え続けたためしがないとおばあちゃんが言ってました」。
庶民の知恵の通り。税金を食べる悪い奴(どこの誰とは言わないけれど)、お客様の声を聞かないサービスを提供するオールドメディア(まずい飯屋)が、私たちの目の前で滅びようとしている。当事者たちがそのおかしさを気づいていないようなので、私たちは冷笑して眺めていよう。そのまま破滅するだけだ。その前に、メディアの持っている各種特権や、使った税金を国民に返してほしいけれど。
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6 件のコメント
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68歳ですが、オールドメディアの陳腐化は80年代に始まった、と考えています。その頃、記憶媒体もフロッピー、HD、USBと目まぐるしく進化しました。情報処理スピードも加速し続けました。それとともに、オールドメディアはネットでの情報供給スピードについて行けず、一般大衆の方が情報入手に於いて先んじている。オールドメディアが滅ぶのはあっと言う間かも知れません。
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メディアのデタラメさは今に始まったわけでは無い。無知な庶民に教えてやろうという、鼻持ちならない伝統の論調が新聞が産まれた時からあった。
権力は悪、権力を正す、弱いものは善、など今に始まったことではない。
長い間腹に据えかねていた人達が発言の場を得て批判しているだけのこと。
メディアには変わって欲しい。そのチャンスを与えられたとおもってほしいのだ。 -
滅ぶどころか家の下で食い荒らしてるシロアリみたいに順調に崩しを進めているように感じるな
ほっとくのが一番まずいだろう -
メディアが報道しない理由、わかりやすかったです。
特に都庁関連のニュースは社内でバリューが低いという事情は一般人には分かりませんし。何かに汚染されているのか?と勘ぐりますが、要は第4, 5の理由にある様、情報収集力不足から官公庁以外にソースを頼ってじゃあ反体制派に聴いてみよう!から左傾して行ったと考えるととても納得できます。
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足りないです。この界隈に直接関わってきた記者や報道メディアがあった。もしくは一緒に活動してきた人間がいたのが原因でしょう。
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