どの国でも同じ? 正義の民間団体に怪しい資金
目次
中共の金が民間団体に流れる
一般社団法人「Colabo(コラボ)」(仁藤夢乃代表理事)への公金支出をめぐる騒動がネットで続く。不思議なことに、この団体は資金の流れと使途の詳細を一般人にわかる形で示さない。そのために批判が続き、事件の終わりが見えない。
同じような事件は、各国で起きている。不透明な金で運営され、政府を動かして民主主義をハッキング(乗っ取り)しようとする民間団体の行動が何らかの形で明らかになり、批判を受けるというものだ。
欧米で問題になっているのが、中国共産党政権(以下、中共)からのNGOやシンクタンクへの資金提供の問題だ。環境・エネルギー問題で奇妙な動きがあるので、紹介してみよう。
英国の保守系シンクタンクのGWPF(Global Warming Policy Foundation:地球温暖化政策財団)が2020年12月に「紅と緑-中国の役立つ愚か者」(The Red and Green-China’s Useful Idiots)という報告書を出した。欧米政府を批判する過激な環境NPOと中共の協力関係を報告したものだ。
ただ、このGWPFも資金の流れを公開しておらず環境団体から攻撃され、ややこしい状況になっていることは説明しておこう。
ちなみに「役立つ愚か者(Useful Idiot)」という題名は、ロシア革命を成功させソ連を作った共産主義者レーニンの言葉だ。「無自覚の内にコントロールされて自発的に共産主義者の役に立つ外国人」のことを「使える愚か者」と言った。スターリンも、毛沢東も同じ言葉で協力外国人を馬鹿にしている。ソ連や中共のプロパガンダを鵜呑みにして賛美し、自発的に協力をする欧米諸国の知識人が以前も今もたくさんいる。そして今の中共を支援すると、金銭という実利の恩恵もあるようだ。
2018年ごろから過激な国際NGOが中共賛美に
この報告書は2018年前後に欧米の過激な環境NGO(非政府組織)が、急に中国寄りの発言をしたことを列挙している。
▶︎グリーンピース:「持続可能性を優先したことは、世界における中国の遺産を確固としたものにするであろう」(2017年5月、気候変動ニュースレターで)
▶︎世界自然保護基金(WWF):「習主席が発表した新たな目標は、世界の温暖化対策を一層強化することについての、中国の揺るぎない支持と断固とした措置を反映している」(2020年9月、人民日報の取材に寄せたコメント)
▶︎天然資源保護評議会(NRDC)のバーバラ・フィナモア氏:『中国は地球を救うか』(2020年)との本を発刊し中国政府の環境対策を賞賛。
同報告にはないが、過激な行動で知られるスウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんも、日本の石炭火力の輸出は批判するのに、中国政府への強い批判はしない。
2018年ごろから中共が、気候変動問題で、国際規制や途上国への資金提供に前向きな姿勢を示す政策転換をした。当時の米トランプ政権は中国との対決姿勢を示す一方で、気候変動では後ろ向きだった。報告はそれとの連動があったと述べている。
3億3000万ドルの中共からの巨額寄付
そして中国が資金提供団体を介して情報収集と資金提供をしていることを報告している。「中国エネルギー基金」 は、米サンフランシスコを拠点に欧米で活動している。そこの寄付総額は、これまで3億3000万ドル(約430億円、いつからいつまでかは期間は同報告に記載されず)の巨額で、米国の有力シンクタンクやNPOに、毎年1000万ドル(13億円)規模の寄付と研究支援を提供しているという。
米国は寄付の文化が社会に根付き、民間団体と寄付者にさまざまな税金の減免措置を与える一方で、情報公開方法が整備されている。そのために、資金提供額がわかったのだろう。ただしNGOやシンクタンクと中共の個別の資金のやり取りの詳細は開示されていないと、この報告は明記を避けた。訴訟などのトラブルを避けたのかもしれない。
米英では、シンクタンクやNGOが、議員とつながり政策を作る。巨額の寄付はそれへの影響力拡大を狙ったのだろう。その金の力で、過激なNGOやシンクタンクが中国を批判しない可能性がある。
一方で、日本企業も政府も、そういう工作をあまりやっていない。そのためか、不当な攻撃の対象になっている。グレタ系の団体「フライデー・フォー・フューチャー」が、背景を明らかにしないまま日本で活動を行い、毎日新聞とつるみながら、日本の石炭火力の輸出を妨害していることを紹介した。(記事「嫌われもの石炭火力が停電危機を止めた」)
環境で優位に、他分野の失点を隠す
中共は、国内での人権侵害、ウイグル族やモンゴル族など少数民族への弾圧、対外侵略行為、台湾や日本など周辺国への威嚇、侵略国家ロシアとの協力など危険な行動を繰り返している。「平和への脅威」という世界の共通認識ができつつある。それにもかかわらず、その行動に見て見ぬふりをしている人が世界各国にいる。そうした背景には資金の流れがあるのかもしれない。
環境・エネルギー問題で中国の政治的活動があることが、「陰謀論」ではないことが、この報告で示されている。日本でもこの分野で、外国の影の見える怪しい動きが散見される。ちなみに前述の毎日新聞は、「China Watch」という中共の海外向け広告記事8ページを月1回折り込んでくるが、昨年中国の大気汚染の改善の記事を読んだ。合法的に同社は中共の環境広報活動に協力している。
中共は環境やエネルギーの新技術の導入や研究に積極的だ。しかし、それを過度に環境NGOが評価している。諸外国から非難を浴び続けている中共にとって、これは貴重な外交的得点になっている。
「きれいごと」で近づく団体の目的を確かめよう
特に環境問題への取り組みは、どの国でも評価されやすい。外交交渉では「リンケージ」という、複数の議題を混ぜて合意をする交渉手法がある。中共が環境をテコに、リンケージの手法を使って、相手国からさまざまな譲歩を引き出すことは考えられる。
またビジネスや民間交流と政治の境界線が、中共の場合に曖昧だ。中国の民間団体や企業が、政治的意図や非合法活動を隠しながら、日本の私たちに接近することがあるかもしれない。さらには別の国のNGOが中共の意図を受けて接近してくることもあり得る。
どんな団体、人でも「きれいごと」を言って近づいてくる人たちには、一歩引いてその意図を確かめた方が良い。そして、環境・エネルギー問題の場合には、「中共」が絡んでいる可能性がある。Colaboの大騒ぎで、懲りたはずだ。もう繰り返すのはやめよう。
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